ショートコース実行委員長ご挨拶

日本薬物動態学会第16回ショートコース
実行委員長
渡邊 健悟(第一三共株式会社 薬物動態研究所)

謹啓

日本薬物動態学会第38回年会・第23回シトクロムP450国際会議国際合同大会の初日となる2023年9月25日(月)に、日本薬物動態学会第16回ショートコース(SC)を静岡県コンベンションアーツセンター(グランシップ)にて開催いたします。本会開催にあたりましては、合同大会長である静岡県立大学 吉成浩一先生および鳥取大学 永野真吾先生と連携し運営・内容を企画いたします。

ライフサイエンスの進展に伴い、創薬現場は医薬品の探索・開発段階における薬物動態研究の多様化、高度化の必要性に直面しております。従来の低分子創薬における“速い・安い・上手い”スクリーニングシステムは、beyond Rule of 5を示すnew modalityにはそのままでは適用が難しく、多少のコストを犠牲にしても、『予測できなかった生体応答を模倣する』『見えなかったものを可視化・定量する』質の高いwet評価系の構築が求められます。

これら背景をふまえ、2023年SCはヒト応答をより高精度に模倣する技術として注目され、world-wideな活動も拡がりつつあるMicrophysiological System(MPS)、従来の低分子阻害剤に比べ強力かつ持続的な作用が期待されるTarget Protein Degrader(TPD)および動態制御技術の進歩とともに実用化の加速が著しい核酸医薬、そして多様化する創薬モダリティの分布評価に革新をもたらすイメージングを取り上げました。これらトピックに関しまして特別講演および3セッションの一般講演を企画し、タイトルを「創薬の現場に届ける最先端のライフサイエンス ~State-of-the-PRACTICE~」といたしました。高度なサイエンスと現場ニーズとの間にはギャップが認められることがございます。そこで本SCでは、上記トピックについて教育的な内容から創薬研究現場における熱量を感じられる話題まで幅広く演題を集め、参加者の皆様がそれぞれの現場でのPRACTICE(実践)に向けた具体的なイメージを掴んでいただき創薬に最大限ご活用いただくと共に、人と人とのつながりおよび新たなビジネスチャンスを見出す機会となるべく尽力する所存でございます。本会へお一人でも多くの方のご参加を心よりお待ち申し上げます。

謹白
2023年1月吉日